プリプレグのレジンとは
釣竿やロッドに興味のある人ならなんとなく聞いたことのあるレジンという単語。
低レジンが良くて、高レジンが悪いみたいな話の事です。
しかし低レジンが良い。高レジンが悪い。なんて事は全くありません。
これは高弾性が良くて、低弾性が悪いみたいな話と非常に良く似ています。
t数至上主義に物申す
正直似ているのも仕方なく、弾性の話とレジンの話は表裏一体なのです。
まずレジンとは何か?
釣竿・ロッドによく使われるカーボン、炭素繊維は、軽く強いという特性を持ちますが、残念ながらそれ単体ではただの糸でしかありません。
糸を束にし、プリプレグと呼ばれるシート状にする必要があります。そのつなぎ役となるのが今回説明するレジンなのです。
レジンが無いとプリプレグにならず、当然釣竿・ロッドは作れませんからレジンを悪者扱いするのは少し違います。
カーボン繊維にレジンが組み合わさったものがプリプレグで、プリプレグの体積(重量に対する場合もありますが)に対しどれだけの割合のレジンが含まれているのかはプリプレグのメーカーのラインナップ次第ではありますが、その割合が多いと高レジン、少ないと低レジンという事になります。
レジンが多いということはカーボン繊維が少ない。
レジンが少ないということはカーボン繊維が多い。
と言えます。
つまり低レジンの方がカーボン繊維が多く含まれる分、機械的性質、物理的性質には優れているという事になります。もっと簡単に言ってしまえば強度や軽さや弾性率等において低レジンは優れるという事です。
ただしこれも釣竿・ロッドの設計的に一筋縄でいかない部分になります。
釣竿・ロッドは必ず曲げて使うモノだからです。
カーボン繊維にレジンが組み合わさる事で曲げに強い釣竿・ロッドの材料になるのです。
つまりレジンにも役割があるという事になります。
釣竿のプリプレグのレジンとして使われるもので最もポピュラーなものがエポキシになります。もちろんフェノール樹脂が使われているプリプレグもありますが、あくまでも私が関わってきた釣竿・ロッドの中では時代背景のせいもあってか圧倒的にエポキシ樹脂でした。
エポキシ樹脂と聞いてロッドビルドを趣味とする人は接着剤を想像すると思いますが、まさにそれです。
エポキシの役割はカーボン繊維を固める接着剤として存在するという事ですが、1本1本の細いカーボン繊維を樹脂によって固める事で、曲げに強く、さらに荷重分担する事が可能になり、引張強度はもちろん座屈に対しての強度も高くなります。
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簡単に言ってしまえばこれがレジンの役割です。
プリプレグに含まれるレジンの多い少ないで何が変わるかは次回説明していきたいと思います。