元釣竿開発者が語る釣具業界で働きたい人へのアドバイス③

①得意ジャンル外の釣りも愛せるか

釣り竿の開発といっても好きなジャンルの釣り竿だけ設計していれば良いのではありません。

当然ですが、ルアー、フライ、磯、船、鮎、ヘラ等々、様々なジャンルの竿を販売しておりましたのでそれぞれの知識が必要になってきます。

ただ新規で立ち上げた会社じゃない限り、すでに発売されている竿の設計図はありますので、それを参考にすれば開発自体は難しくはありません。

つまり愛さなくても大丈夫です!

②自社以外の製品を愛せるか

ずばりOEM生産での他社製品ですね。

ブランクのみ設計、製造し、組み立て会社に送るパターンと、ブランクを設計、製造、組み立て、完成品として出荷する2パターンがあります。

ブランクのみの設計の場合、作業としては言われた通りにやるだけなので、「もうちょっと硬く」と言われれば硬く、「もうちょっと軽く」と言われれば軽くするだけの話で、その後完成品としてどうなったか知らないまま終わる事がほとんどです。つまり愛さなくても大丈夫です!

完成品として出荷するパターンは、例外なく依頼してきた会社の担当者と顔を合わせるので、多少の想い入れは出てきます。

自社製品で競合する製品がないジャンルの竿なら特に気合いが入ります。僕に任せてくれたり、いい案がないかと尋ねられたら更に気合が入ります。この竿みたいにしてくださいと他社の竿を持ち込んでくるパターンは少し萎えます。見た目重視の素材を指定してくると一気に萎えます。

会った事ないですけど、設計出来る人がOEM生産で依頼してきたとしたら、多分朝まで語りあうでしょうね。

★結論★

仕事として割り切る部分と、譲れない部分どちらもありますが、世の中の仕事ってだいたいそうなんだと思います。好きな事だからって常に全力投球してるとそのうち壊れます。

ぱおログの管理人「ぱお」です。 元釣具メーカー勤務で、主に釣り竿(ロッド)の設計と開発に携わっておりました。 自社ブランドはもちろんOEMで様々なブランドの竿も設計してきた経験を活かして釣り人の皆さんに役立つ情報を発信していけるようなブログを目指しております。

1件のコメント

  1. はじめまして。
    現在、大学で工学(力学全般)を勉強しているものです。
    やはり、釣り竿の設計には、材料力学、材料強度学とか、ANSYS、CADとかの知識は必要不可欠になってきますよね?

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