元釣竿開発者が語る釣具業界で働きたい人へのアドバイス②

①自分が良いと思うモノを作ることができないジレンマ

売るのが営業で、営業が欲しい物を作るのが開発の仕事。

まあ会社だからそういうものだとは思いますけど。

営業と開発がタッグになって商品を作っていくのですが、この場合営業との信頼関係があればこその話で、この人分かってないなっていう営業にはこちら側が提案していかないといけないんです。

売れるものが欲しいっていう事は、どうしても今売れているものの後追いになることが多く、そうじゃなくってもっといい竿作れますよ!って、営業を納得させないといけない。これが本当に骨の折れる作業で。でも結局売るのは営業ですからね。こっちが根負けすることも多かったですが。

そんなこんなで出来上がった釣り竿は我が子のように可愛いのですが、営業と開発の想いを足して2で割った竿じゃなくて、僕の想いだけが詰まった竿が欲しいのも本音でした。

②釣り人の好みに板挟みされるジレンマ

釣り具メーカーですから、釣り好きの社員がたくさんいました。

ちなみに意外かと思われるかもしれませんが全く釣りをしない人も開発部にいましたが。

釣り好きにはそれぞれ好みの竿あります。先調子か胴調子かみたいな。

営業との会議で作る竿のコンセプトを決め、それに沿って試作し煮詰めて完成させていくのですが、偉い人の中には自分の好みと違うと良く思わない人もいまして。

会議の中で決定した事なので僕だけの好みとは違うんですが、サンプル品を手に取って天井にぐいっと押し当てて、おまえの作る竿は硬いなーなんて嫌味を言われてました。

営業は外回りで会社に居ないことが多かったので、受け止めるのは開発の人間だけでした。あまりに尖った竿はコソコソしながら作った事もあります。

★結論★

好きなモノだからこそ譲れないコトもあると思いますが、所詮は会社員です。

思い通りにはいかない事の方がはるかに多いです。

ぱおログの管理人「ぱお」です。 元釣具メーカー勤務で、主に釣り竿(ロッド)の設計と開発に携わっておりました。 自社ブランドはもちろんOEMで様々なブランドの竿も設計してきた経験を活かして釣り人の皆さんに役立つ情報を発信していけるようなブログを目指しております。

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